風が止まる 2009/08/19 (Wed)

今日はなんだか運が悪い

ご飯をいつもより少なく炊いてしまったのも
ゲームに明け暮れてやる気が起きないのも
苦手な人を前に避けてしまったのも

隣にいる1番話したい人と談笑できないのも
自分の存在意義に疑問を持ってしまうのも
助けを求められない自分の愚かさがあるのも


きっと風がそよがないせいだ

花火の夜に 2009/07/22 (Wed)

私は生涯　忘れることはないだろう
花火の夜に　あなたが隣にいた事を

一つずつ漆黒に咲いていく花達は
祭りの最後を飾るには　決して華やかとはいえないが

その一つ一つの咲く瞬間が　あまりにも愛おしくて
二人の空間だけが　まるで別世界の時間にあるようで

只々感じていたのは
花火の光と　たった一人の声



本心は花火よりも隣の表情が見たいのに
目線はどうしても横を向けられず

空に瞬く光しか目に入らないまま
短い時は過ぎていく

それでも　そのつぶらな瞳は輝いていて
満面の笑みを浮かべているのが分かる


そう　分かっている
互いに感じているのは　ささやかな別々の幸せ


でも分かるのは自分だけでいい
この思いは知られてはいけない



この時間　この場所で　どうか同じ思いを




その瞬間の幸せは
最後の花火と共に儚く散って

潮騒 2009/06/01 (Mon)

久しく太陽の光を見ていない
灰色の世界と風と雨の音くらいだと思う

家の中にいると、はっきりとそれらが聞こえてくる
音の遮られた場所だからこそ分かる感覚

外側はあんなにも騒がしい
だけど内側はいたって静かだ


久しく仲間と話していない
顔を合わせるのとすれ違いざまの挨拶くらいだと思う

自分の席にいると、はっきりとそれらが浮かんでくる
決められた空間だからこそ分かる感覚

外側はあんなにもまぶしい
だから内側は暗がりの中にある

風がそよがない
波紋が立たない
音が弾まない

刺激のない世界で心は揺れ動くこともなく
平穏な世界で心は享受できずにもがき続ける

未だ知らず 2009/04/24 (Fri)

私の知らない世界を仲間が話している

言葉からあふれ出る自由な世界
その場に笑顔と会話の花が咲いている

話についていけず只うなずく私は
まだ見ぬ地に思いを馳せる

どこまでも伸びていく地平線
色鮮やかな街並み
頬に触れる緩やかな風


そこに自らの無知を
遠すぎる未来と自由を

人への嫉妬心を感じずにはいられなかった
 

虹 2009/04/23 (Thu)

昔描いた夢を私は覚えていない

お菓子屋さんや歌手だったり
お姫様やおよめさんだったりしたのだろうか


夢を思い描いたのはいつだったか

物心ついた時から
夢はある一定の方向に向かって
真っ直ぐに枝を伸ばしていた


初めてのきっかけを探しに
記憶の海に潜る


泡沫に映った 心を失ったあの時の

過去の中で揺れ動いている幻影が
消えることのない種を植え

植えられた種は芽を出して
空に届くほどになった
目の前にあるプリズムをつかもうと
必死に手を伸ばして 伸ばして


決して過去を肯定したくはないが

今宵も 空にかかる虹の夢を見る