ある風景からの考察 2008/04/17 (Thu)

声が聞こえる。


家族の団欒から一人、先に抜け出し
ちょうど今、音楽を聴きながらインターネットに興じている。

会話から外れた後も、ヘッドホンの外から団欒の続きが入ってくる。

今日の家族会話のお題は「自分たちの将来について」

やれ進学はどうやら、
就職はなんやら、
家から出て行くのか、等々。


・・・神様も随分意地悪なことをしてくれるようだ。
タイミング悪く、将来のことについて悩んでいたからだ。
この話を振られるのは正直痛い。


今、二つの選択肢が自分の目の前にある。
それも似ているようでまったく方向性の異なる、将来という名の選択肢。

この状況が今の自分に静かな混乱を与えている。

まさかこうなるとは想像もしていなかった。
道は一つだと信じていた自分にとっては。


この夢は揺るがない
この夢をかなえるために、約十年走り続けてきた
走ることをやめることはない
今までもそうだった
そしてこれからも
そう言える自信がある

確かにあったはずなのだ、その自信が。


なのに、そう言えない自分が此処にいる。

揺るがされてしまったのだ。
ほんの一ヶ月で。たった一人の人間に。

いや、一ヶ月といえば嘘になる。
この”一ヶ月”は気付かなかったにすぎない。

約一時間半。
これっぽっちの時間で自分の心は大きく変化してしまった。


今でもその時間が目に焼きついて離れない。
この瞬間もその人の存在が心を捉えて離さない。

人との出会いが、ここまで人の人生に影響を及ぼすとは思っていもいなかった。



家族の会話はいつのまにか終わっていた。
テレビの音と誰かの寝息が代わりに耳に入ってくる。


誰にも悟られずに、私は外界からシャットダウンする。
ヘッドホンから入る音楽に混じり、聞こえるのは一つだ。


今、手の中にある選択肢は二つ
「憧れを追い、今という時間を生きるか」
「過去の自分を追い、走り続けてきた道の延長線上を生きるか」



私は自分に問いかける。

さあ、どちらを選ぶ？